養護学校と特殊学級

     中学校特殊学級教諭/賛助会員

 表題については以前にもこの会報に同趣旨のものがありましたが、学齢期障害児の制度は、その市町村によってかなり違っており、私の勤務する川崎市の事情を書くこともあるいは参考になるかも知れません。

[ベテラン教師は県立養護学校に多い]
 −特殊学級との制度上の違い−

川崎市小学校・中学校の特殊学級(1993年川崎市教組障害部白書)

 [小学校]
                  全小学校数   114校
    特殊学級設置校  105校/209学級
   特殊学級児童総数  431人
   特殊学級担任総数  225人

  [中学校]
   全中学校数     51校
   特殊学級設置校   41校/80学級
   特殊学級生徒総数  183人
   特殊学級担任総数   87人

 ※学級は主に3種類:精神薄弱/情緒障害(主に自閉症)/肢体不自由。

 川崎市の場合、ほとんどの小・中学校に特殊学級が設置されています。設置されていない学校でも、該当児がいればすぐに設置することになっています。歩いて行ける所に学校があるのは魅力的なことです。数字のように障害別に担任が一人ずづ配置されます。同学級に同じ障害を持つ児童・生徒が10人以上にならないと担任は2人になりませんが、現実には1人を担当するというのがほとんどです。ですからその1人の子供が卒業するとその担任も要らなくなるわけで、担任はひとつの学校に長くいられない、あるいは普通学級の担任に回されるということが起こってきます。逆に、次年度特殊学級が開設になることがわかって普通学級の教員が無理やり特殊学級の担任になることも多いのです。統計によると川崎市の小学校の特殊学級の平均在職期間は概ね1年11か月です。従って ’92年度小学校特殊学級・1担任1学級の所で、経験が3年未満という担任が69.7%にのぼっても、あまり驚かないということになります。
 その点、養護学校はチームを組んでやっているので教員がガラッと交代になるということはなく安心出来ます。しかもベテランの教員がそこに残りやすいシステムになっていることも確かです。ただ川崎市の『市立養護学校』は同じ市立同士なので市内の小中学校の教員との交流がかなり激しく行われています。良い点でもありますが、様々な問題を起こした教員の一時避難所になっていることも否定出来ない事実です。県立の場合は市立の教員が移るには試験を受けなければならないので、こういう心配は先ずありません。施設や教員の配当数から言えば、市立の方が良いのですが、教員の質の面では市立に問題ありと言われても仕方のないところです。
 また川崎市には小学校4校に市立の『たんぽぽ学級』があります。設備・教員数・カリキュラムから言って普通学校の中に併設されたミニ養護学校といってよく、重複障害の児童が通っています。この『たんぽぽ学級』については重症の児童もいるからか、市立とはいえ普通学級の教員との交流は基本的にはありません。
 小学校入学に際しては、介助が付かない普通学級・特殊学級・市立『たんぽぽ学級』・市立養護学校・県立養護学校の中から選ぶことが出来ます。

[重症心身障害児の受け入れ]
 小学校入学については、このようにいくつかの比較的広い幅の選択肢が用意されています。また中学校についても、『たんぽぽ学級』はありませんが小学校と同様の選択が出来ます。中学校卒業以降は就職 −ということは今はなく、ほとんどが養護学校へ進学します。県内の国立を除けば、どの養護学校を選んでも入試で落ちるということはありません。川崎市は在宅を出さないということで評判が良く、年々厳しくなっているとはいえ養護学校高等部を出た人は作業所など何らかの場所が確保されています。ただし重症の心身障害を持った人については小・中・高、いずれにも行かれないことになっています。肢体不自由学級のみの県立中原養護学校が重症の心身障害児を受け入れていますが、市内にたった1校しかないのでバスに乗れない子、送迎が出来ない場合はとても通えません。結局そういった重症の心身障害児については週2回程度の訪問学級を受けるわけですが、とても充分な教育というわけにはいきません。重症の心身障害児は障害を持つ子の中でも最も手厚い援助を必要とするわけですが、数が少ないぶんだけ、日の目を見ないという状況になっているのです。
 私も各市町村の実態を知りたいと思っています。
(事務局宛)情報を寄せて頂けたらと思います。


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